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Q&A on common incontinence and nursing care problems 立てる方・座れる方の介護・リハビリについて

日常生活の中で少しずつ体を動かして行けるようにする「生活リハビリ」を続けていくことが大切です。そう語る石川先生に、生活リハビリの重要性についてお話を伺いました。

そもそもリハビリテーションとは、どういったものなのでしょうか?

リハビリテーションとは、本来、疾病や障害のために困難な日常生活を送っている方が、再び元の生活が送れるように生きる、人間らしさを取り戻すという意味があります。

医療的なリハビリとなると、急性期・回復期・維持期と病期に応じた3つのリハビリがあります。

急性期では、再発や合併症などを防ぐために診断・治療を病院で行い、回復期ではそれぞれが持つ機能の障害をリハビリ病棟で回復するためにリハビリを行います。

維持期では、在宅や訪問看護や老人保健施設などで、機能や能力の低下を防ぎながら、社会に参加し社会性を保てるようなリハビリを行うことが重要になってきます。

急性期・回復期、そして維持期を通じてリハビリテーションは行なわれます。

維持期におけるリハビリの重要性を教えていただけますか?

まず維持期という言葉ですが、ただ維持だけをすればいいと捉えられがちですが、これは間違いですね。

維持することはもちろんですが、維持期であっても少しずつ回復していくことができるのです。

たとえば、日常生活を送るうえで、今までできなかったことができるようになることもあるんですよ。

一見、身体の麻痺や、手足の動きが回復しているように見えなくても、確実に生活の中でできることは増えていって、だんだんと生活が豊かになってくるんです。

毎日のリハビリの中で、じわじわと改善、回復している状態を積み重ねていくことが維持期のリハビリであり、私が伝えたい「生活リハビリ」の大切さなんです。

これを諦めてしまうと、回復は望めなくなってしまいますので、いかに生活の中でのリハビリが重要であるかが分かっていただけると思います。

生活リハビリにおいてのトイレ排泄の位置づけはどういうものでしょうか?

まず、生活リハビリの中心には「より豊かな生活をしよう」「楽しく生活しよう」という意欲があります。

そして、「より豊かな生活」「楽しい生活」の大もととなるのが、やはり食事と排泄ですね。

人は何よりも食べなければ生きていけませんよね。また、口から食べて美味しいと感じれば生きる意欲も湧き、元気が出てリハビリにも積極的に取り組めるようになるんです。

そして、排泄に関しては、人間の尊厳に関わってくると思っています。ベッドの上だけの生活では、人間の尊厳も生きる意欲も失いがちに。

だからこそ、トイレで排尿できるように援助をすることで、人間の尊厳が保たれ、リハビリ意欲も高まっていきますので、生活リハビリの中心に排泄リハビリがあると私は考えています。

在宅で介護されている方の苦労というのは、どういう所にあると思われますか?

在宅介護で一番苦労することといったら、やはり日常生活の中心である食事と排泄が一番大きいと思いますね。

特に排泄は、可能ならばトイレでの排泄をお勧めしたいですね。

立位をとっていただける方なら、苦労は少ないかもしれませんが、短い時間しか立っていられない場合は、パンツの上げ下ろしなどは大変な苦労になっているのではないでしょうか。

では、どのように対処すれば良いのでしょうか。

トイレにお連れして、数秒でも立位が取れるためにどうしたらよいか工夫されることですね。

そのためにも、介護される方もする方もなるべく苦労を減らすために手すりをつける、ポータブルトイレを利用する、ヘルパーさんなどの力を借りて二人がかりで介護するなど、色々な工夫をされるといいのではないかと思います。

諦めずに最後までリハビリを続けるということが大切なんですね。

リハビリには何よりも本人の前向きな意欲が重要です。

単に医学的リハビリを徹底的に行えばいいということではなく、もっと広い意味での生活リハビリを行うことが大切なんですよね。

基本的な日常生活を、できるだけ質の高いものにしていく努力が報われるのは、本人も周囲も努力をすることによって、楽しい人生が全うできるという一点にあると思います。

もっと活動的に、もっと楽しい人生を過ごしたいという意欲がリハビリ効果を高めることですからね。

そういった意味でもリハビリは一時的なものではなく、最後まで諦めずに続けていくこと、すなわち「生涯リハビリ」という意識が大切なんだと思います。

ついつい状況で諦めてしまうということもあるかと思います。そういう方たちに向かって、なにか励ましの言葉をいただけますか?

諦めるということは、ご自分の回復をも諦めてしまう意味になってしまうんです。

どんなに障害が重くても、可能な限り普段とおなじような生活ができるように支援することは、リハビリを行っていく上で一番大切なこと。

その人らしく生きていただく為に、リハビリに関わるすべての人が最後まで諦めずに頑張ってリハビリと向き合っていただきたいと思います。

石川誠(いしかわ まこと)先生 初台リハビリテーション病院 理事長

リハビリテーション医学、脳神経外科学を専門とし、各地での講演をはじめメディアなどでも活躍中。著書に『高齢者ケアとリハビリテーション 回復期リハと維持期リハ』ほか、専門書籍の監修なども行っている。